| ■ アトリエ五狼 ■
個展履歴
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佐藤 和行
火焔のクニ、越後に生(あ)れし
個展によせて
満月を迎えると、思い出す人やまちが少しずつ増えてきた。人は生きていて良かったと思うことが多いほど、その人にとって忘れがたい出来事が広がってゆく。
長岡に住んで10年目を迎えた。東京近郊を離れて長岡に来て、最初に驚いたのは、ニュータウンの住まいのベランダに寝ころがって空を見上げた時だった。
星が見える。正座が見える。流れ星も見える。やがて昇ってくる月が煌煌と夜空に輝いた。それから一人ベランダに寝そべって空を見上げるのが楽しみになった。
トルコのカッパドキアの満月、サンフランシスコの満月、メキシコ、タコスの満月。中でもクアテラカンの月のピラミッドの上に輝いた満月は頬に鳥肌が立った。
佐藤和行さんは、満月のような人である。数多く語らず表情も丸く目もやさしい。心の表現とでも云うか、描きつづける作品は“詩”。そのもので語りかけに情がある。
長岡は東山。エコファーム新潟の一角にアトリエ五狼の会がある。佐藤氏の自作自演のアトリエだが、人間味豊かな工房でもある。ここで毎月開かれる“満月の夜のコンサート“。佐藤氏の友人や仲間が集い、この世の中で最高のエンターテイメントが行われる。こんな人がこの時代にいたんだ、と人生を振り返る。
銀座で個展。みなさん、ぜひ一度“満月の夜のコンサート”においでになってはいかがでしょうか。
佐藤氏の囲んで無農薬、手作りの味とともに、人生を語り合いたいと願いものです。
長岡造形大学々長 豊口 協(元東京造形大学々長)
人との出会いには、はっと驚き、心騒ぐ一瞬がある。神の思い召しに導かれるかのように、理屈にならない口実をみつけては一緒する機会を重ねるうちに、もはや離れ難い腐れ縁が結ばれてゆく。
佐藤和行氏は、その筆頭の大切な友人である。人恋しさにまかせて、気紛れに声をかけても、必ず四角の笑顔を運んできてくれる。しかも時折り美人を同伴し、引き合わせてくれる。だから酔うほどに幸せのどん底をさ迷うことができて、うれしくて癖になりそうな危険を覚えたりもする。
太目造りの体には、いろいろな隠し技を秘めている。五七五を吟詠する一方で、生身の魚を調理する免許皆伝の腕前もみごとである。
本領はしかしなんと言っても、絵筆に発揮される。かつて、ヨーロッパ各地を写生して歩いた遍歴が、揺るぎない表現を支えているのだ。
それから、カナダを弥次多道中よろしく車で一緒に走り回ったときの作品の一群である。自然の静謐とトーテンポールを立てた人々の息吹きが漂っている。
そらに私が新潟県歴史博物館の館長に就任した記念に贈られてた、縄文曼陀羅とも言うべき一幅は、佐藤氏の重要なジャンルの次なる展開を見せている。まさに縄文人の頭の中から引っぱり出して縦横無尽にのた打ち回らせた渦巻きが現代に蘇って、生きている。キャンバスの奥の無限の彼方から浮き出して外に飛び出してゆこうとする勢いは縄文人の心と身体の動きそのものを思わせる。
それがいま博物館のロビーの壁を飾って、断然気を吐いている。大方の御対面を期待したい。
また、秋田県鹿角市の特別史跡大湯環状列石に最新の超大作が看板のように立てられ、大いに人目を魅いんじる。
このたびの個展は、そうした活動の表現とするとともに拠って来たるところの基盤をも窮わせるものである。ここにこそ佐藤氏の人間と将来の展望を確かに見るものである。
新潟県立歴史博物館々長 小林 達雄
(國學院大學教授)
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